その場合には、この点の集まりはどんどん下に落ちていってしまうはずです。
そうすると、最も期待リターンの高いポートフォリオは、なんとRということになってしまいます。 リスクゼロで、リターンがリスク資産よりも高いのですから当然です。
そのとき日本経済は悪夢のようになっていると思われます。 企業が高金利に苦しんで利益を出せず、株主に配当を払えないという状況なのですから。
それではGDPが拡大再生産しようがありません。 日本経済の死亡宣告です。

もちろんこんなことが起きる前に、皆が銀行に殺到して預金するようになるので、預金金利はどんどん下がります。 Rの位置が下がっていって、ふたたび右上に接線が引けるところまで調整されるはずです。
要するに、先ほどのポートフォリオの図は、このままきれいに静止しているような性質のものではないのです。 常に揺れ動きつつ、新しい均衡点に向かって探索を続けていると考えたほうが実態にあっています。
ただこのポートフォリオ理論は先に述べた経済理論と同様、頭の中を整理したり、自分のバランスシートを見直したりするときには、それなりに有効です。 ハイリスク・ハイリターン、ローリスク・ローリターンの概念を目で見て覚えられますし、ノーリスクでハイリターンの投資対象などこの世に存在しないのだということをわからせてくれます。
その程度のものと考えておいてください。 ポートフォリオ理論については、感覚でざっくりと分かっていただけたと思います。
では具体的に、どのように資産を組み合わせてポートフォリオを作ればいいのでしょうか。 ポートフォリオ理論が明らかにしているのは、1つの安全資産と楕円との接点を示す株式があれば、その2つの資産に対する投資の配分で、ポートフォリオを語ることができるということです。
極端な話をすれば、預金とある一銘柄の株式があればいいということになるわけです。 世の中にいろいろな金融商品があるのですが、預金とリスク資産という形でおおざっぱに管理することで十分だということがわかるのです。

実際、ポートフォリオ理論の立場で言えば、債券も、外貨資産も、株式と同じように扱えます。 債券は変動率が小さくて、収益率も小さい株だと考えましょう。
外貨預金は変動率と収益率が債券と本当の株式の中間にある株だと、とりあえずとらえておきましょう。 そうすれば、個人投資家にとってのポートフォリオとは、生活防衛資金を預金で持ちながら、株や債券や外貨資産を選択する話であるとみなすことができます。

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